小島
そうなったときに大事なのは、やっぱり日本語で「こういうこと考えてます」って言えないといけないから、今は英語教育は捨ててる。自分の中では。必要に迫られてもないしね。
――
テクノロジーの進化か。
この先どんな本と出会いたいっていうのはある?
小島
さっき言ったように、ゴールは見えてるからそこに導いてくれる本、人もそうだね。自分を成長させてくれるものかな。
――
難しいのはその時点ではわからないことだもんね。これが導いてくれたとかっていうことは。
小島
そうそう。たぶん自分の中で「こうなりたい」とか「こういうことがしたい」っていうのをちゃんと思っておかないと、そういう人と出会ったときにも気づけないと思うから、常に自分のやりたいことは頭の中に入れておかないとダメなのかなっていうのはある。
――
そうしておかないとそういう出会いはないだろうし、逆に言えばそうしておけばそういう出会いがあるだろうってことだね。
小島
うん。オレひとりで六本木のバーとかに飲みに行くんだけど、「こういうことしたいんですよね」ってそこで仲良くなった人とかに言うと「じゃあこういうやつ紹介してあげるよ」とか「こういうおもしろいことやってるやついるから話してみようか」とか言ってもらえるし、やっぱり思ってること言わないとっていうのはあるかもね。
――
そうやって広がっていくんだね。それと、やっぱりひとりではできないってことだよね。
小島
そう。本当に。自分だけでできるなんてことは思ってないし、自分はエリートじゃないってことはわかってるから、じゃあどうするかってことを考えてるよね。よくある言い方で言うと「人間力」を高めていかないとできないんだろうなって。
――
そうかそうか。
小島
どんだけエリートでもアタマ良くても、「こいつとは一緒に仕事したくねえなぁ」とかさ。逆に「この人のためだったら何でもやってあげたいな」とか。やっぱり差はあるだろうし。そう思ってもらった方が楽だし。そういう意味でも大事だよね。
――
「謙虚さ」もそうだね。知識が増えると謙虚になりやすいかもしれないね。ものごとを断定しにくくなるというか。
小島
そうなんだよね。
――
オレの話になってしまうんだけど、オレは、例えるならば「とんかつはソースじゃないとダメでしょ」っていう人よりも「しょうゆで食べる人もいますよね」「おろしポン酢で食べるのもおいしいですよね」っていう人が好きで。
小島
はいはい。
――
それでいて、さらに「でもわたしはソースで食べるのが一番すきです」っていう人が好きなの。
小島
うんうん。
――
いろんな食べ方を知る、おもしろがれるっていうことだよね。
小島
そうなんだよね。だから、自分と意見が違う人もいるんだっていうことをまず分かったうえで、ほかの人にも伝わるようにするにはやっぱり言葉遣いも必要。「なんでこんなことも分かんないんだよバカ」とか言うと伝わらないし。
――
ブログに書いてたよね。
小島
うん。ネットのせいで自分の伝えたいことが100%伝わらないこともあるし、全部読まずに自分の意見を表明しちゃう人も出てくるし。そこはネットの怖いところだから、そのリスクを少しでも減らすために、言葉遣いはやっぱり一番大事なのかなって思う。
――
これが言葉遣いの話につながってくるのか。
小島
そう、言葉遣い。語彙力もそうか。
――
みやぎが書いた記事で、すごくいいな、と思ったものがあって。この記事に書かれている内容って「とんかつ」の話に通じるところがあると思うんだよね。
小島
あのジェンダーについてのやつか。
――
そう。今世界中で起こってる悲しいことの多くは、本をただせばすべて「不寛容」ってところに行きつくんじゃないかな。
小島
そう。結局そうなんだよね。よく言われてるように、今回トランプが勝ったのも、元々アメリカのエリート層は自分たちの考えは正しいと思ってたけど、自分たちよりも、言い方悪いけどアタマ悪い人たちが、本当はどう思ってるかっていうのをわかってなかった。それで、その思いを代弁してくれたのがトランプだったから勝ったっていう話があるよね。
――
うんうん。
小島
そういうのを読んで、生まれながらのエリートじゃなくてよかったなっていうのはちょっとある。
――
あー、なるほどなるほど。
小島
今の庶民としての感覚を持ちながらじゃないと、日本を変えられないなっていうのがあるし。やっぱり結局99%くらいが庶民だから。
――
明治維新なんかを考えてもそうか。多くの“庶民”たちが活躍したもんね。
小島
うん。自分を含めて庶民からしたら、上から目線で何か言われたところで動かないし。だけど「こうやれば変わりますよ」とか「一緒に頑張りましょう」とか言われたらやってみようかなと思う。これはただ頭いいだけじゃできないし、ただのエリートでもできないと思うから。
《つづく。第7回 「聞く」は能動的》
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