7.3.17

第2回 「手段」として


――
今の読書量になったきっかけみたいなものはある?

小島
大学の卒論の時に、参考書籍は多ければ多いほどいいって言われるから、とりあえず図書館にある関連書籍持ってきて読んで、っていうのが始まりかな。それで自分の文章にできたっていうのを、「あ、おもしろいな」って思ったのがあるかな。

――
もともとセットだったんだ。

小島
そうかもしれない。





――
ということは、そのおもしろさっていうのは娯楽としてのおもしろさっていうよりもは、どちらかというと作業のひとつとしておもしろいって感じなのかな?

小島
あー。たしかに、今のとはちょっとずれてるかもしれないけど、読書は「目的」というよりもは「手段」。いい仕事するためにこの本読むとか、何かするために学ぶツールでしかなくて。だからなんか、まあお金と同じようなものかな。

――
「手段」。はい。

小島
前の会社辞めて次の会社入るまでに一週間くらい間空いて、その時仕事も特にないから本を読もうと思ったんだけど、読んでもあんまり感じることがなくて。たぶんそれは目標がないというか、読んだことを実践する場がなかったから、なんかあんまりおもしろくないなって感じたのかな。で、また仕事始めてこういうの読むようになって、共感するところもあるし。

――
「目的」があって、「手段」として読書があると。

小島
でもなんか、「経営者50人が選んだブックリスト」みたいなのもたまに見るけどね。「これ読んでるんだ」とかね。

――
憧れみたいなものもあるのかな?

小島
うん、と思う。だから憧れの人が読んでる本はとりあえず読んでみる。





――
憧れと関連して、今までに影響を受けた作家さんとか作品ってある?

小島
作家はあんまり今思いつかないけど、影響を受けたのはやっぱり経営者というか、ライフネット生命の出口さんもそうだし、あとZOZOTOWNの前澤さんとか。そういう人の考え方がすごい好きで。あとね、もともとNPOのLiving in Peaceっていう団体の代表で、今は自分で会社やってる慎泰俊(しんてじゅん)さんって人なんだけど、その人の考え方もすごい好きで。その人たちが読んでる本は読もうとしてる。

――
その人たちも読書家だったと。尊敬する人たちが読書しているっていうのはモチベーションとして大きいかもしれないね。

小島
そうそう。

――
インタビューするにあたって、みやぎ(彼のニックネーム)のここ三年間くらいのFacebookとかInstagramとかの書籍紹介を見ていたんだけど、わりと最初のころはノンフィクションものが多くて、そこから小説を読む時期に入って、今は専門書というか特定の分野の本が多くなっているような流れだと思ったんだけど、この流れは自分の中で想定していたものだったりするの?





小島
それはでも考えてないかな。

――
自然とこういう流れになった。

小島
もともと小説は好きだけど、小説よりもノンフィクションのほうが好きで。やっぱり現実だし。小説はもちろん素晴らしいけど、結局現実には勝てないよなっていうのが何となくあって。だからノンフィクションのほうが好き。あとはもう仕事を始めて、自分が「こういうことをしたい!」って考えるようになってきて、じゃあそのために今何が必要なんだ、っていうのを考え始めてこういうふうに変わっていったのかもしれない。

――
みやぎの読んでいる本を見ていると、わりと本を通して進む方向が定まっていってるように感じるんだけど。

小島
間違いなくそう。今の仕事を決めたきっかけも、「人」と「本」があって。

――
「人」と「本」。おもしろそう。

小島
まず「人」は、転職を考えているときに、転職というか会社を作りたいって考えていた時に、もうすでに会社をやっている社長の友達から、今までにない形の新しい保育園を作りたいっていう話を聞いたんだよね。確かに面白そうだねって話をして、それなら一緒にNPO作るかってなって。本気でやろうと考えてたんだけど、でもそれやるってなったときに、自分が何できるか考えたら、今は何もないなって。

――
あー、何もなかった。

小島
だからそれなら、まずはその業界に入ってみて、何かできそうなことを考えようって思ったのがひとつ。
あとは、保育の勉強をいろいろし始めたときに、京都大の教授が書いてる『子育て支援が日本を救う』っていう、その本に衝撃を受けて、この分野に絶対に入ろうって思ったのはあったよね。これをこうすれば日本はよくなるんだなっていうのが分かったから、それで決定したんだよね。





――
「人」や「本」との出会いが、新しい世界を開いてくれることはあるよね。
ただ、今はインターネットがあってSNSも普及してる。本を読まなくても、じゃないけれど。そのなかで、情報源として本を大切にする理由、時間を費やす理由は何なんだろう。

小島
一番は、なんだろう、この前本を読んでてふと、思ったんだけど、本を読んでいる時間より、本を閉じて今読んだ本から派生して考えてる時間、自分と向き合ってる時間のほうが大事だなって思った。本を読むことを通して、結局は今自分がどう思っているんだろうとか、こんなこと考えてたんだっていうのが分かる。自分と向き合うために一番有効な手段が本を読むことだからかなって思う。

――
自分の内面をのぞく媒体として優れてるんだ。
例えばそれが映画だった場合とか、ネットの記事だった場合よりもは本のほうがいい?それはもう好みの問題?

小島
そうそう、好みの問題だと思う。映画の人もいると思うし、洋服っていう人もいると思うし。オレはそれが本だったっていうだけでね。





《つづく。第3回 マンガのすごさ》

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