――
みやぎは読書を通じて「言葉」自体にも興味を持っているように思うんだけど、「言葉」はやっぱりコミュニケーションツール?
小島
うん。だし、それはもう前提として、英語とかフランス語とか話せるようになったとしても、たぶん考えるときは日本語で考えるはずだから、自分の考えを深めるためには語彙が豊富じゃないと。そういう意味でも日本語は大事にしたいって思う。
――
そういう意味で日本語が大事なのか。オレはてっきり「美しい日本語」って芸術的な領域の話だと思っていたんだけど、そうではないんだね。
小島
それもあるかなー。やっぱり日本語にしかない表現ってあるし。どっちもあるかな。
――
自分が文章を書くときに基準としていることとかはある?
小島
いつも意識してるのは、自分が経営者とかになったときに出しても恥ずかしくない文章。有名じゃないけど、そうなったときに恥ずかしくない文章。
――
難しいかもしれないけど、どういうのが恥ずかしくない文章なんだろう。
小島
言葉遣いかなあ。
――
日本語が正しいかどうか。
小島
うん。そうね。
――
誰に向けて書いているとかはある?
小島
前までは伝わる人にだけ伝わればいいだろうって思ってたんだけど、今はできるだけ多くの人に。やっぱり日本を変えたいっていうのがあるから、それがちゃんと伝わるように。読んで「あ、自分も行動しなきゃな」って思ってくれる人が、一人でも多いといいからね。
――
そうなると自然と言葉遣いも...
小島
あんまり難しい言葉とかはつかわないようにはなってるね。
――
ただ、どうしても専門用語なんかは出てくるよね。そういう時はどうしてる?
小島
たしかに、読みはじめとかだと専門用語も使いたくなる。かっこいいから。でもそれを誰にでも伝わる言葉で伝えられないってことは、それが理解できてないってことだと思う。書いてて反省する部分ではあるよね。だからそこは、理解できるまではあんまり書かないようにはしてる。
――
理解していれば言い換えることは可能。
小島
うん。
――
そのためにも語彙力は必要になってくるわけだ。
小島
そうだね。
――
実際に紹介した本を読んでくれた人っていうのは結構多い?
小島
あんまり多くはないけど、たまにいるとやっぱりうれしいよね。別に押し付けるわけじゃないけど、読んだよって言ってくれると嬉しい。
――
そういう時はその本について話したりするの?
小島
うん。するする。
――
やっぱり読み方が違ったり。
小島
まあね。今思い浮かべてる人には、林真理子さんの『野心のすすめ』をおすすめして。女の子なんだけど、女の子が読むと全然違う読み方になると思った。
――
あー、性別で読み方が変わる。なるほど。それはやっぱりおもしろい?
小島
うん、そうね。全然違うし。でも共通してる部分はあるし。
――
あの、みやぎが一回「あなたに合う本見つけます」みたいなことをやってたよね。あれは本を読む人を増やしたいっていうのもあったと思うんだけど、感想を聞きたいっていうのもあったのかな?
小島
そうだね。それを通していろんな話ししたり。映画を観て感想を共有するみたいなことだよね。
――
共有か。本ではたしかに少ないかもしれないね。
小島
それができればおもしろいなと思った。だからマンガはそこがすごいなと思って。本はあんまり読めないけど、マンガだったらめちゃくちゃ読めますっていう日本人結構いると思う。その文化を作ったマンガはすごいなって。たしかにマンガのほうが分かりやすいこともあるしね。
――
そうだね。マンガってすごいね。
共有するって大切なことだもんね。映画は確かにそれができてて、去年の邦画なんかはまさにそれで広まったようなところがある。
小島
そうそう。
――
それを本でもできればいいな、と。
小島
うん、そういうこと。
《つづく。第4回 学問のすゝめ》
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