9.3.17

第4回 学問のすゝめ


――
「読書離れ」って果たして本当に問題なんだろうか。

小島
そう思ったけど、本屋とか行ったら結構いっぱい人いるし、よく大学の教授とかも言ってるけど、実は現代人が一番活字を読んでる世代だっていう話もある。

――
あー、そうか。

小島
ネットの記事とかも含めてね。もちろんその内容は問わないけど。だから別にそこまで問題視はしてないけど、でもやっぱり読む文章の質は落ちてるんじゃないかな。





――
質はそうかもしれないね。
みやぎは「日本をよくしたい」っていうのがベースにあって、そのために今取り組んでるのが保育の分野だよね。

小島
はい。

――
一応領域としては教育に入るものでもあると思うんだけど、その教育っていうところで、質の高い日本語を学ぶためには本を読むのがいい、って考えてる部分もあるのかな。

小島
もしかしたらあるのかもな。教育もたしかに興味はあって。自分一人で日本を変えるってなったら難しいけど、ちゃんと小さいころから教育して「日本を変えたい」って人が、百人とかに増えれば可能性は上がるし、千人だったらもっと増える。そういう意味で教育には興味あるかな。できるならやりたい。

――
うんうん。

小島
軽井沢かな?に、日本で初めてインターナショナルスクールをつくった、小林りんさんって人がいて、その人の考え方もちょっと似たような、似たようなって言ったら偉そうだけど、日本を変えるために小さいころから教育をほどこして、世界中から子供を呼んで、多様性とかも学んぶ。それで、世界へ出て行って日本の良さを発信する人をつくる、っていうような。そのためにこの学校をつくったって言ってるから。そういうのもいいなって思う。





――
へぇー。みやぎもそうだけど、かなり大きなビジョンを持っている方なんだね。
その、日本を変えるために、本はどんな役割を果たせそうかな?

小島
個人的にだったら、今の日本を変えるために、例えばじゃあ明治時代の人はどうしてたのか、とかを学ぶための一つの材料だし。昔の人はここでこういう失敗をしたから自分はしないようにしよう、とか。まさに『代表的日本人』にはそういうことが書いてあって。





――
『代表的日本人』。うん。

小島
日本を変えるために奮闘した人たちが、どういうところでつまづいて、なんで成功したか、とかが分かりやすく書いてあるからいいなぁと思う。
でもやっぱり日本全体で考えると、日本人がもっと質の高いものを読まないと、国がダメになっていくと思うし、そのためにも、いい本を一冊でも読んでほしいっていうのはあるね。

――
歴史から学ぶ、となると本はいいねやっぱり。

小島
福沢諭吉『学問のすゝめ』の中で、もちろん勉強する量によって身分の高さが変わるから、勉強するのは大事なんだけれど、なんで勉強するかって言ったら、その先に、日本人一人ひとりが勉強を通して自立していないと、国自身が独立できないってことがある、と。結局国民がバカだったら、政治は良くならない。でも国民がアタマ良ければ、上もちゃんとやろうってなる。だから、日本が列強国に対して存在感を示すためには、まずは国民がしっかりしてなければいけないよ、っていうのを言ってた。





――
あー、なるほど。国民一人ひとりの自立。
本を読むだけではダメで、質の高い本を読んだうえで自分で考えなきゃいけないと。

小島
そうそう。
さっき言ってた「影響を受けた人」もう一人思い出したんだけど、影響を受けたというか受けようと思ってるというか、なのが『項羽と劉邦』劉邦

――
ほー、劉邦ですか。はい。

小島
まだ読み始めたばっかなんだけど、劉邦っていうのは、村の中でも“役立たず”とか“穀つぶし”とか言われてた人物。それに対して項羽は、名門の家の出身で武術とかにも長けてる。単純に見たら、絶対に項羽の方が天下に近いって言われてたけど、結局勝ったのは劉邦なのね。

――
うん。

小島
これが本当かどうかはわからないけれど、司馬遷の書いた『史記』には、歴史的にみても超有能な三人の人物を味方につけることができたから、劉邦は天下統一できたって書かれてるのね。

――
有能な家来かぁ。

小島
それを知って思ったのは、まずオレ自身は凡人だし、自分よりアタマいい人なんて死ぬほどいると思うから、その人たちと同じレベルで争おうとは思ってない。だけど、例えば自分が「こうやりたい」って言って、その人たちを説得して、自分の仲間に入れることはできるんだなって思って。

――
はいはいはい。

小島
自分よりも何倍も優秀な人を仲間に入れれば、自分が実現したいこともできるんだなって。

――
なるほど、はい。

小島
あともう一個劉邦がすごいなって思ったのは、自分でそれをちゃんと言えること。
自分は大したことないけど、その三人がいたおかげで天下統一できたんだよ、っていうのを言えるのは、やっぱり上に立つ人間としてすごいなって思った。

――
あぁ。大事なことだなぁ。





小島
そのへんのことを、これからちゃんと読んで学ぼうとは思ってる。

――
自分を認めるチカラか。

小島
そう。劉邦の才能は、まず、人に気に入られる才能。それと、自分より才能のある人を見つけて仲間に引き込む才能。で、その才能ある人たちがめちゃくちゃ喜ぶくらいにほめたたえる才能。そのへんがあったんだろうなって。

――
こういうのは、“不変の法則”みたいなところがあるかもしれないね。よくよく考えてみれば、今の時代まで語り継がれているんだから、適用できる何かがあるってことだもんね。

小島
まあよく言うのは、歴史は勝った人たちに都合のいいように書かれてるっていうから、これも本当かはわからないけどね。でも学べるところはあると思う。

――
これなんて何千年前とかのレベルの話だもんね(笑)。

小島
そうそう(笑)。でも現代にも適用できる部分があるんだもんね。そういう意味ですごいよね。





《つづく。第5回 「かっこいい国」にしたい》

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